2011年6月16日木曜日

カダフィ13億ドル資産運用で『全損』 ゴールドマンの大失態とは

米ウォールストリート・ジャーナル紙がゴールドマン・サックスの内部文書として伝えたところによると、同社は2008年に13億ドル以上のリビアの政府系ファンドを為替などの取引で運用し、その結果98%以上の損失を出した。

 政府系ファンドは、同国の最高指導者カダフィ大佐が管理していた。ゴールドマンはファンドの運用で損失が出た際、同社の大株主になるようカダフィ大佐に提案したという(ロイター)

WSJによると、ゴールドマンサックスは2008年1月から6月までに、リビアの政府系ファンド13億ドルのうち為替取引と株式で運用した。


株式運用先 6社株式
米銀行 Citi Group
イタリア銀行 UniCredit SpA,
スペイン銀行 Banco Santander,
ドイツ保険会社 Allianz
フランス電力社 Elecricite de France
イタリア電力会社 Eni SpA


そして2008年は、リーマンショックで世界中の金融市場で大混乱が起き、このリビア政府系ファンドの13億ドル分の運用資産も2010年2月には2510万ドルまで大幅下落した。

最強の投資集団であるゴールドマンサックスでもこの混乱で98%の『全損』という大失態をしでかした。これにリビア側は怒り狂った。

首都トリポリで行われたリビア政府系ファンドとゴールドマンサックスとの会合では激しく対立。会合後、ゴールドマン担当者2人はパニックになりながら上司に電話連絡。翌日リビアを発つ際に、ゴールドマンサックスは護衛を手配して社員の安全を守ったという。

そして2009年5月、ゴールドマンサックスはリビア側に13億ドルの損失穴埋めのため6つのオプションを提案したそうだ。その中にゴールドマンサックスの40年にわたり4%-9.25%の配当付きの優先株も含まれていたという

結局、リビア側はリーマンブラザーズが破綻したようにゴールドマンサックスの破綻リスクを警戒し、優先株購入にはいたらず、2010年6月に20年間年利6%のリターンを保証することで合意(しかし、取引は正式に完了せず)

そして、今年2月、米国はリビアへの制裁措置で370億ドル相当のカダフィ関連資産を凍結した。その一部の資産は、ゴールドマンサックスによって今も管理されています。


それにしても、2010年1Qではデイトレーディングで63勝0敗という無敗記録をだしたゴールドマンサックスだけに、顧客に98%の莫大な損失を出すなんて信じられません