2011年8月20日土曜日

世界の株価暴落と米国債格下げ

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S&Pによる米国債格付け下げにより、下げたのは米国債ではなく世界の株式市場でした。
米国債は下げるところか10年ものの金利が2.5%から2.3%へ逆に下がったのです。

これはおそらく米国債を買い支える政治的な理由から、世界中のヘッジファンドが米政府の意を汲み総出で株式市場を売り浴びせたのではないでしょうか。

もともと米国の大企業や金融業(ウォール街)はQ2による資金供給により、非常に景気がよかったのですが、財政破綻騒ぎにより、米政府が財政緊縮を飲まざるを得ず、それにより財政出動が限られて来る為に景気に冷や水を浴びせ不況に逆戻りするのではないかとの懸念をヘッジファンドが突いたものであると思われます。
それにより、投資資金が株式より国債などに大きくシフトした為に、取り敢えずは米国債は持ちこたえているのだと思います。

しかしながら、景気がいいのにも関わらず株価が下がるのは異常であるとの指摘もある通り、作為による市場操作は長続きするものではないでしょう。
さらに景気がいいのは大企業や金融業だけであり、米国民は失業と不況の嵐のなかに放り出されてままである事を考えれば、このまま株価が戻るのかも不透明であり、予断を許しません。

米国債を格下げしたS&Pはさらに、ファニーメイやフレディマックという米政府系の住宅金融会社や地方債なども格下げし始めました。
御存知のように米政府系住宅金融会社や地方債は深刻な問題を抱えており、Q2によりここ暫く小康状態であったのが、また取りざたされるようになると、せっかく安定し始めた米国債券金融市場がまた不安定な状態に陥り
影の銀行システムと呼ばれて米国金融市場を支えている債券市場に危機が訪れる事になり、リーマンをはるかに超える、金融危機が勃発しかねない事になります。

米英系の3大格付け機関である、S&Pは米国債をAA+に格下げし、ムーディーズとフィッチはAAAに据え置きましたが、フィッチは今月末にさらに格付けを発表する予定になっています。
このフィッチの格付けにより、米国債だけではなく世界金融経済が大きな影響を受ける事を考えると、改めて、
この格付け機関の格付けが大きな意味を持つ事が判ります。

米国債の格付けが引き下げられたのは米大手格付け会社ムーディーズが1917年にAAAを付けて以来、史上初めてです。S&Pは1941年から米国債に格付けを付けていました。
そういう意味では民間であれ、このような格付け会社の格付けがある程度の権威をもっているのは理解できるのですが、それらが民間機関であり、さらに米英系資本の格付け会社が米国の格付けを行うと言う、泥棒(失礼)が泥棒を捕まえるようなシステムは可笑しいと思うのは私だけでしょうか。

いずれにしても、米国のこの混乱により、世界の金融システムを止めるわけにはいかないのです。
すでにドルは基軸通貨としての資質にクエッションマークが付けられているのですが、決済通貨としての使命を
放棄するわけにはいかない訳で、その代行を日本円がさせられる事になって来ています。
一時、米ドルの買い支えの為、日銀でドルを刷り始めているという事は書きましたが、今はなんと米国(FRB)で円を刷り始めているのではないかと言う事ですが、さもありなんなのです。
日本円がとことん刷り散らかされる事になって来ています。
つまり米国の尻ふきに日本が国民の資産のすべてを差し出す嵌めに陥って居るのですが、世界中は見て見ぬ振りです。
それにより、すこしでも世界的な崩壊が先延ばしできるのであれば、それはそれとして良しとせざるを得ないのでしょう。
知らぬは日本国民だけなり、に成りつつあります。